展示会・イベントに於けるブースを、よりきれいに効果的に見せる為に展示用照明器具の選択は、必要不可欠です。「明るければ良い。」「となりの小間より明るく」「明るく見せる為にアンドンを多用して」などというのは、ひと昔も、ふた昔も前の考え方だという事は、もうこの業界の方達にも常識になってきています。

今は、いかにオリジナリティを出すか、商品価値を上げていくかという演出を照明計画に組みこんでいく事が常識となっているのですが、では実際どのように具体的に器具の選定、レイアウトをしていくのかということになると、展示会のブース工事では、まだまだ予算面、時間的な制約、造作物の素材等、からんでくる問題が山積みで、商業施設等に比べるとかなりグレード的に低いレベルだと言えます。

演出、というと、たいていの方々がある程度大きなブースのステージ上の演出照明を思い浮かべ、御自分のブースには、関係ないと思いがちですが、実際にはブースの基本照明の中でも、全体照明、出展物に対する照明、説明パネル、社名板等などの印刷物に対する照明、ナレーター、コンパニオン、受け付けなど、人物に対する照明、単に目をひく為の動きのあるディスプレイとしての照明・・・と、それぞれの対象によって異なった照明計画を考えていかないと、せっかく予算をかけてブースデザインをしても、効果が半減してしまいます。

近年、展示会などで多用される照明器具にH.I.D(メタルハライド)他水銀灯を多く見かけます。弊社への発注もC.D.M(セラミック)の70Wや、小型の20Wなどなるべく原色をそこなわないものというリクエストが増えています。

たしかに色温度が高く、白い光なので、IT関連機器や、医用機器関連、ラボ関連の出展物や、写真パネル、全体照明にはかなり効果的ですが、一方、生鮮食品や、貴金属、人物には、ハロゲンぐらいの色温度のほうがよいと言われています。

今更ですが、2000年頃から、『省エネ』という意識が、社会全体の課題となり、特に震災・原発事故後は、『節電』という意識が、急浮上してきた現状の中で、一般家庭、商業施設や、会社、工場の場合の『省エネ』に直結するL.E.D.照明導入は、例えば照明を分散配置し、生活シーンに合わせて必要な部分だけを点灯する、『多灯分散照明』が注目され、L.E.D照明と、組み合わせてエネルギーの削減につなげるという方法が主流です。

しかしながら、『展示会』『イベント』の世界に於ける『省エネ』とは、前述の方法では、『目立たせたい』『アピールしたい』という出展者の意図とは反比例する結果になりがちであり、市販のL.E.D.電球を従来の器具に取り付けて使用するといった子供騙しのような方法で、『省エネ』『節電』をしているポーズのみが目立ちます。

現在、L.E.D.の技術は格段に進歩し、『ワンコア(ひと粒)タイプ』ではない、いくつかのユニットを複数配置してランプ照度を確保していた従来型の器具でも、均一でムラのない配光を実現できる程になりました。ただ、コストがかかりすぎの為、一流メーカーのものは、単価的に使いづらく、ワンコアタイプのものは、放熱の為に器具が大きく重くなってしまうといったデメリットがあり、省エネ、節電の為に設営経費をムダ使いをするような、本末転倒的な結果になっています。

そこで、弊社では電力は1割程度に押さえ、照度、色温度共、C.D.M.や、H.I.D.に匹敵する、展示会、イベント向けに、L.E.D.スポットライト100W型、400W型の2種類をオリジナルで開発・製作、お客様に供給ができる事になりました。
100W型は、PAR20タイプ、9Wで、ハロゲン100Wスポットの代用器具として。400W型は、ベース、サイン・看板、景観照明用として、35Wの消費電力です。
両器具共、色温度は5,000K(昼白色)と、展示物等の本来の色を演出します。
単価的にも、円高の現在、海外のメーカーにて受注生産をする事により、コストは最小限に押さえました。

用途に応じて照明器具の使い分けをする事は、コストを押さえて必要最小限の照明で最大の効果を得ることになり、展示会に於ける演出照明とはまさしくこの事だと考えます。

ブースの大きさ、展示物の大きさ、照明器具の取り付け位置等によっても、効果的な照明器具の種類は変わってきます。装飾御担当者の方と事前に、より綿密な照明計画をたてていただければ必ずニーズにあった効果的な照明を使用したブースが出来上がると思います。

弊社もお客様に、より一層効果的な照明プランを提供できるように、多種多様な色温度に対応した照明器具の開発、見直し、デザインの向上を通して皆様のお手伝いができれば幸いだと存じます。



株式会社クルー・エレテック
代表取締役 井ノ口慎哉